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DATE : 2026.09.27

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姿勢から、どのように身体を診ているのですか?

質問 姿勢から、どのように身体を診ているのですか?

矢上先生は、生徒さんの立ち姿勢を診ながら、身体の痛みや不調について判断されていますが、どのような点に注目して「姿勢診察」を行っているのでしょうか?

矢上からのコメント

何だか私が、「その人の姿勢を見ただけで、痛みや不調の場所を言い当てている」と思われているようですが、それは少し違います。

それでは、まるで占い師のようではありませんか。

私は姿勢を診る前に、まずその人に「どこが痛いのか」「どのような不調があるのか」を聞きます。

そして、その痛みや不調と、その人の姿勢や身体の使い方を照らし合わせて観察します。

私はこれまで約50年間、鍼灸師、ヨガ指導者、整体治療、そして自力整体の指導を通して、多くの人の身体を見続けてきました。

その経験の積み重ねによって、

「このような痛みのある人には、こういう姿勢の特徴が多い」

「以前診た、あの人の身体の使い方によく似ている」というデータが、私の中に蓄積されています。

私は、その経験と目の前の人の状態を照らし合わせながら診ているのです。

ですから、「矢上先生の姿勢診察を、そのまま覚えたい」と思っても、長年の観察によるデータがなければ、すぐに同じように診ることは難しいでしょう。

ただ、誰にでも観察できる基本的なポイントはあります。それをお伝えしましょう。

1.まず、後ろ姿を診る

私は特に、後ろ姿から多くの情報を得ています。

長年、人の身体を見続けていると、服を着ていても、その下にある骨盤、背骨、肩甲骨、脚の位置関係をある程度イメージできるようになります。

これは特殊な能力ではありません。経験によって身についた「見る力」です。

そして、その骨格のバランスを、私がこれまで観察してきた「痛みとゆがみの関係」と照らし合わせていきます。

特に大切なのが、「左右どちらの足に重心がかかっているか」という点です。

ただ、立っている姿だけでは重心が分かりにくいことがあります。

そこで私は、後ろから見ながら、身体を左右に振り返ってもらいます。

たとえば、右へ振り返る動きでは左足に体重が乗ります。そのため、左右への振り返り方や動きやすさの違いを見ることで、普段どちら側に重心を置きやすいのかを推測します。

そこから、骨盤の左右差、背骨のカーブ、肩の高さなども合わせて観察していきます。

それがわかると、痛みの部位も 下の図のように推測できます。

2.次に、横から姿勢を診る

次に、横から身体を診ます。

ここでは主に、骨盤の前傾・後傾と、背骨全体のカーブを見ています。

大きく分けると、

  • 下のイラスト左側の 骨盤が後傾し膝曲がり、腰椎の前弯が少ない「平背」の傾向
  • 真ん中の骨盤が前傾し、腰の反り&膝の伸び過ぎと胸椎の丸みが強い「猫背・反り腰」の傾向
  • 右側はその中間にある、バランスの取れた姿勢

といった違いがあります。

さらに、頭が身体より前へ出ていないか、胸椎が丸くなりすぎていないか、腰椎のカーブが強すぎたり少なすぎたりしていないか、膝や足首がどのように身体を支えているか、といったことも見ていきます。

私は長年の臨床経験から、こうした姿勢の特徴と、腰や膝などに現れる痛みとの関係を観察してきました。

ただし、姿勢だけを見て「この病気である」と診断するわけではありません。

骨盤の前傾・後傾や背骨の形には、生まれつきの骨格的な特徴や個人差もあります。

それ自体を「悪い姿勢」「病気」と決めつける必要はありません。

そこに左右のアンバランスや、日常生活での身体の使い方の偏りなどが重なったときに、痛みや不調との関連が見えてくることがある、と私は考えています。

3.写真だけでは判断しない

もう一つ、大切なことがあります。

私は、写真一枚だけで姿勢を判断することには慎重です。

なぜなら、人は写真を撮られると分かった瞬間、無意識に背筋を伸ばしたり、左右均等に立とうとしたりして、普段とは違う姿勢になりやすいからです。

静止した一枚の写真は、その人の日常の身体の使い方を十分に表しているとは限りません。

ですから私は、立っている姿だけではなく、

歩く、振り返る、前後左右に動く、しゃがむなど、いろいろな動きをしてもらい、その動きを連続して観察することを大切にしています。

一枚の写真よりも、動画や実際の動きの中に、その人が普段どのように身体を使っているのかが現れやすいからです。

姿勢診察で大切なこと

姿勢診察とは、姿勢を見ただけで病名や痛みを「当てる」ことではありません。

本人から痛みや不調について聞き、その情報と、立ち姿勢、重心、骨盤、背骨、そして実際の動きを照らし合わせて、身体全体のつながりを読み取っていくこと。

これが、私が長年行ってきた姿勢診察です。

そしてナビゲーターの皆さんにも、最初から「ゆがみを見抜こう」と力むのではなく、まずは生徒さんの後ろ姿や横姿、そして動きを丁寧に観察する習慣をつけてほしいと思います。

見続けることで、少しずつ身体が語っていることが見えてくるようになります。

by 矢上 裕

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