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DATE : 2026.09.28

自律神経と脳波について

自律神経と脳波について

ナビゲーターからの質問

ナビゲーターの○○です。

自律神経と脳波について教えてください。

「自律神経が副交感神経優位である状態」と、「シータ波のように脳波がゆっくりになっている状態」は、どのように区別すればよいのでしょうか。それとも、はっきりとは区別できないものなのでしょうか。

以前、先生が「僕はシータ波なんだ」というお話をされていたことがあったと思います。

シータ波が出ているということは、交感神経優位にはなっていない、と考えてよいのでしょうか。

瞑想のような穏やかな状態で過ごすことは良いことだと思っていますが、自律神経という観点から見ると、どのように考えればよいのでしょうか。

先生の見解をお聞かせいただければと思います。

矢上からのコメント

お答えします。

まず、「僕はずっとシータ波なんだ」と言ったわけではありません。

以前、ある合気道の先生の研修を受けたとき、その先生が脳波を測定する機械を持ってこられていて、私も測っていただいたことがありました。

そのとき、

「矢上さんはシータ波が出ていますね。シータ波というのは、一般的には瞑想しているときや、眠りに入る前のウトウトしたときなどに現れやすい脳波です。それなのに、矢上さんは目を覚まして普通に起きている状態でシータ波が出ている。不思議ですね」

と言われたことがあったのです。

おそらく、そのときの話をしたのだと思います。

現在の私の脳波がどうなっているのかは、測っていないのでわかりません。あの測定をしたとき、たまたまそうだったのかもしれません。

もしかすると、合気道の先生の講義を聞きながら眠たくなって、ウトウトしていただけなのかもしれませんね(笑)。

脳波と自律神経は同じものではない

さて、ご質問の「脳波と自律神経の関係」についてです。

両者には関係がありますが、同じものではありません。

脳波は、脳の神経細胞の電気的な活動を頭皮上から記録したものです。

一方、自律神経は、心臓、血管、消化器など、私たちが意識して動かしていない身体の働きを調節している神経系です。

したがって、

「シータ波が出ている=副交感神経優位」

と単純に結びつけることはできません。

脳波と自律神経は互いに影響し合いますが、それぞれ別の角度から身体の状態を見ているもの、と考えたほうがよいでしょう。

ですから、私がいつも瞑想状態で生きているわけでもありません。

興奮することもあれば、怒ることもあります。緊張して交感神経が活発に働いているであろうときもあります。

私は特別な人間ではなく、ごく普通の人間です。

「副交感神経優位=健康」とは限らない

あなたへの直接の答えはここまでですが、せっかくの質問ですので、自律神経について私が日頃考えていることをお話ししておきます。

自律神経について書かれた本などを読むと、

「イライラや怒りによる交感神経優位を抑えて、穏やかでリラックスした副交感神経優位の状態をつくりましょう」

という説明をよく見かけます。

そのために、部屋を暗くしたり、アロマの香りを利用したり、ヨガや瞑想をしたりすることが勧められています。自力整体にも、心身をリラックスさせる働きがあります。

しかし私は、単純に「副交感神経を優位にすれば健康になる」とは考えていません。

大切なのは、交感神経と副交感神経のどちらか一方を優位にすることではなく、必要なときに必要なほうが十分に働き、状況に応じてスムーズに切り替わることだと考えています。

昼間、活動するときには交感神経が働く。

食事を消化するときや、休息し眠るときには副交感神経が働く。

このように、両方が必要に応じて働ける身体であることが大切なのです。

私が自律神経を考えるときに「背骨」を重視する理由

そして、自律神経について考えるとき、私は「背骨の状態」も非常に大切だと考えています。

私たち人間を含む脊椎動物は、脳や脊髄、末梢神経が連携しながら身体のさまざまな機能を調節しています。

自律神経もその神経系の一部です。

医学的には、自律神経の不調をすべて「背骨の隙間が狭くなったため」と説明することはできません。

しかし、長年、鍼灸師、整体師、そして自力整体の指導者として多くの身体を見てきた私の経験では、背骨やその周囲の筋肉が硬くなり、動きが失われている人ほど、身体全体にもさまざまな不調が現れていることが多いと感じています。

だから私は、自力整体では背骨をゆるめ、動きを取り戻し、神経や血管など周囲の組織に余計な負担をかけない身体をつくることを、とても大切にしています。

「自律神経を整える」という言葉だけで終わらせず、その土台となる身体そのものを整えていこう、というのが私の考えです。

なぜ最近の自力整体には「座る・立つ」動きが少ないのか

先日、こんなレポートを読みました。

「矢上先生、今の自力整体もいいのですが、以前行っていた座位や立位の自力整体も好きなので、古い自力整体も、ときどき授業でやってください」

という内容でした。下の写真の自力整体がそうです。

その気持ちはよくわかります。

しかし、現在の私が目指している自力整体は、以前よりもさらに「背骨を解放すること」を重視するようになっています。

立っているときや座っているとき、背骨は頭や上半身の重さを支え続けています。

一方、仰向け、うつ伏せ、四つん這いなどの姿勢になると、立位や座位に比べて背骨にかかる重力の条件が変わり、背骨やその周囲の筋肉をゆるめる動きを行いやすくなります。

特に輪っかタオルを使うようになってからは、身体を寝かせた状態で、背骨や骨盤周囲を無理なくゆるめる方法が大きく発展しました。

その結果、現在の自力整体では、以前に比べて立位や座位の実技が少なくなり、四つん這い、仰向け、うつ伏せなどの実技が多くなっています。

これは、昔の自力整体を否定しているわけではありません。

研究を続けていく中で、「今はこの方法のほうが、私が目指している整体を行いやすい」と考えるようになった結果なのです。

過去の自力整体が身体に合っていて、気持ちがよいという方は、ご自分で取り入れていただいて構いません。

私はこれからも研究を続けながら、現在のカリキュラムを進めていきたいと思っています。

まとめ

今回の話を整理すると、次の三つです。

〇 脳波と自律神経は同じものではありません。
シータ波が出ているからといって、必ずしも「副交感神経優位」とは限りません。両者には関係がありますが、単純に「シータ波=副交感神経」と結びつけないほうがよいでしょう。

〇 大切なのは、交感神経と副交感神経のどちらか一方を優位にすることではありません。
活動するときには活動し、休むときには休む。必要に応じて両方がしっかり働き、切り替わることが大切です。そして私は、その土台となる身体を整えるうえで、背骨の柔軟性や動きを重視しています。

〇 現在の自力整体に、座位や立位の実技が少なくなったのには理由があります。
背骨にかかる負担を減らし、背骨やその周囲をゆるめやすくするため、四つん這い、仰向け、うつ伏せなどの姿勢を多く取り入れるようになりました。

自律神経だけを直接「整えよう」とするのではなく、自律神経がその役割を果たしやすい身体の環境をつくる。

私は、それも自力整体の大切な役割の一つだと考えています。

by 矢上 裕

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