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DATE : 2026.11.03
自力整体問答 第84話・・・正常な腰…
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DATE : 2026.11.02
11月2日 代償性緊張と、頭痛・腰痛・心身の緊張について
【受講者からの報告】
私はもともと背骨が左に側弯しており、左肩が下がり、骨盤は左側が上がっています。
右腰の仙腸関節付近に痛みがあり、最近は左肩甲骨の内側から左の側頭部にかけても痛みが出ていました。
前回、10月24日のオンライン・ナビ研修で講義を受け、私の場合は「左半身の緊張に身体が引っ張られ、それを補うための緊張が右腰の痛みにつながっているのではないか」と考えました。
そして、そのことを意識しながら実技を受けました。
特に印象に残ったのは、後半の、仰向けで片足の裏にタオルを掛け、その足を反対側へ倒す動きです。
タオルを掛けた側の膝を伸ばし切らず、曲げたまま揺すると、全身の筋肉の緊張が奥からほどけていくように感じました。凝り固まっていた仙腸関節の周辺も、広がっていくような感覚がありました。
その後は、左肩甲骨から側頭部にかけての痛みもなくなり、上半身と下半身の左右差や、全身のつながりを実感しました。
その夜は早くから眠くなり、20時には就寝しました。夜中に一度も目覚めず、翌朝5時までぐっすり眠ることができ、すっきりとした朝を迎えました。
ありがとうございます。
【矢上からのコメント】
ご自分の身体をよく観察しながら実技をされていることが伝わり、指導する側としてもありがたく、その観察力を頼もしく思います。
観察し、考察し、仮説を立て、実技を通して確かめる。そして、結果に応じて考え直す。
この姿勢は、ナビゲーターにとって何より大切なものです。
今回は、いただいた報告をもとに、私が自力整体の指導で用いている「原発性緊張」と「代償性緊張」という考え方から解説していきましょう。
ここでお伝えするのは、身体の働きを理解するための私なりの見立てです。
今回の痛みの原因を、報告だけで確定するものではありません。
まず、あなたの肩や骨盤の左右差を、下にイラスト化してみました。

身体の左右差には横への傾きだけでなく、ねじれが関係している場合もあり、このイラストのゆがみは
ねじれを正す自力整体で解消することができますので、あの自力整体(後述)が効いたのでしょう。
その前に、現状はどうなっているのか、何故そうなるのか、どうしたら解決するのかを
解説する前に、重要なキーワードである、原発性緊張(黒幕)と代償性緊張について知ってください。
■ 原発性緊張と代償性緊張
私は、身体の偏りを生み出すきっかけとなっている筋肉の緊張を、説明上「原発性緊張」と呼んでいます。いわば、表に姿を現しにくい「黒幕」です。
一方、その偏りを補い、身体のバランスを保とうとして、別の場所に生じる緊張を「代償性緊張」と呼んでいます。「代わって償う」と書くと、その意味がわかりやすいでしょう。
例えば、身体の一部が片側へ引っ張られたとき、そのまま倒れないように、別の筋肉が働いて姿勢を支えます。その働きが続くと、支えている側に負担がかかり、コリや痛みにつながることがある、という考え方です。
このとき、きっかけとなった場所よりも、補い続けている場所のほうに、強い不調を感じることがあります。
ただし、「原発性緊張には痛みがなく、代償性緊張だけが痛む」と、はっきり分けられるわけではありませんが、 多くの場合、原発性緊張(黒幕)は痛みもコリもなく、代償性緊張ばかりが痛むケースが多い。
痛む場所をほぐすと楽になることもありますが、負担を生んでいる姿勢や身体の使い方が続いていれば、同じ不調を繰り返すこともあります。
だから私は、痛む場所だけでなく、そこに負担をかけている全身のつながりを見たいのです。
身体を支えようと頑張り続けている、けなげな代償性緊張。その働きに気づくことが大切だと考えています。
■ 今回の痛みを、全身のつながりから考える
あなたの場合、不調を感じていたのは、主に次の二か所です。
一つは、左肩甲骨の内側から首、側頭部にかけて。
もう一つは、右腰の仙腸関節付近です。
私は、これらの離れた場所の不調に、左腰周辺の緊張や、体幹の左右差が関係していたのではないかと考えました。
そのつながりを、仮説として整理すると、次のようになります。
1.左腰周辺の筋肉の緊張が、体幹の傾きやねじれに関係している。
2.その影響が、左肩や肩甲骨の位置にも及んでいる。
3.肩や頭の位置を保つために、左の首から肩甲骨周辺の筋肉が働き続け、負担が増している。
4.首や肩周辺の負担が、側頭部の痛みに関係している可能性がある。
5.右腰も、体幹のバランスを保つために働き続け、仙腸関節付近の痛みに関係している可能性がある。
首と肩甲骨をつなぐ筋肉の一つに、肩甲挙筋があります。これは首の骨と肩甲骨の上部を結ぶ筋肉です。後頭部に直接ついている筋肉ではありませんが、周囲の筋肉とともに、首や肩甲骨の動きや位置に関わっています。
私が「首詰まり」「腰詰まり」と呼んでいるのは、こうした場所に緊張や動きにくさが集まっている状態です。これは身体の感覚を伝えるための表現であり、医学的な診断名ではありません。
下のイラストでは、引っ張る側と、それに対抗して支える側をイメージしてください。
支える側が休めず、疲れ果てている。その姿が、代償性緊張を理解する手がかりになります。
〔

イラスト〕
長年、多くの方の身体を見てきた経験から、私は立ち姿や後ろ姿に表れる左右差を、実技を考える手がかりにしています。ただし、見た目だけで痛みの原因を決めつけず、本人の感覚や動きによる変化も確かめることが大切です。
■ なぜ、骨盤をねじる実技で楽になったのでしょうか
今回の実技では、痛む首や右腰だけを直接ほぐしたわけではありません。
それでも、左肩甲骨から側頭部にかけての痛みがなくなったと報告されています。
私は、次のような変化が重なったのではないかと考えています。
1.前半の、経絡を意識した全身への刺激や揺さぶりによって、身体を動かしやすい状態になった。
2.仰向けで足裏にタオルを掛け、その足を反対側へ倒すことで、体幹や骨盤周辺に穏やかな動きが伝わった。
3.もう一方の足を手で持って後方へ引きながら骨盤を前後に揺することで、腰周辺の緊張が和らぎ、身体の支え方が変化した。
4.その結果、首や肩甲骨周辺、右腰が担っていた負担も軽くなった可能性がある。

あなたが膝を伸ばし切らず、曲げたまま揺すった点も大切です。
形を完成させようとするより、無理なく揺れが伝わる状態を探したことで、力を抜きやすくなったのでしょう。
「仙腸関節が広がるように感じた」というのも、ご自身の感覚として大切な報告です。
ただし、実際に関節の隙間が広がったことを確認したわけではありません。
私の言葉で表現すれば、「黒幕」と考えた腰周辺の緊張が和らぎ、ほかの場所が頑張り続ける必要も少なくなった。その結果、全身が楽になったのではないか、ということです。
■ 熟睡できたことについて
その夜、ぐっすり眠れたという報告もうれしく読みました。
身体の痛みや緊張が和らぎ、気持ちも落ち着いたことが、眠りやすさにつながったのかもしれません。
ただ、熟睡できたことだけから、「交感神経の緊張が解け、副交感神経が優位になった」とまでは断定できません。睡眠には、その日の活動量や疲労、生活のリズムなども関係するからです。
それでも、実技の後に身体が楽になり、心地よく眠れたという体験は、ご自身に合う動きや過ごし方を知る、大切な手がかりになります。
■ 日常の座り方にも目を向ける
これまで多くの方を見てきたなかでは、あなたとは反対側に、似た左右差や不調が現れる方もいました。
例えば、椅子に座るときに左のお尻へ体重をかけ、右手でマウスを操作する姿勢を長時間続ける方です。
こうした身体の使い方が、肩や腰への偏った負担につながっている場合があります。
ただし、同じ座り方をすれば、誰もが同じゆがみや痛みになるわけではありません。
下のイラストを参考に、普段どちらのお尻に体重をかけているか、どちらの肩に力が入りやすいか、ご自分の身体を観察してみてください。

〔イラスト〕
■ 整体師は、身体のつながりを探る探偵
こう考えると、私たち整体師の仕事は、探偵に似ていると思いませんか。
痛みを感じる場所があると、私たちはつい、「ここが悪いのだ」と考え、その場所ばかりを何とかしようとします。
けれども、そこは身体全体を支えるために、頑張り続けてきた場所かもしれません。
「痛んでいる場所だけが、原因とは限らない。どこかに、そこへ負担をかけている要因があるのではないか」
そう考えて全身を観察する。それが、私のいう「黒幕探し」です。
もちろん、痛む場所そのものに病気やけががある場合もあります。
ですから、何でも代償性緊張と決めつけることはできません。
それでも、痛む場所だけに目を奪われず、姿勢や動き、日常の習慣まで含めて考えることで、身体の見方は広がります。
頑張り続けている場所をさらに責めるのではなく、そこが休めるように全身の負担を整えていく。
それが、自力整体で私の目指していることです。
首や肩、腰の負担が和らぎ、楽に動ける。そして、一日の終わりには安心して眠れる。
そんな身体づくりを支える「正義の探偵」でありたいと思いながら、私は日々、研究と指導を続けています。
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