JOURNAL

お知らせ・日記・動画など

DATE : 2026.09.30

JOURNAL|
高齢者の転倒・骨折を防ぐために

質問

ナビゲーターの○○です。

高齢の生徒さんの中に、転倒して骨折し、教室を休まれる方が出てきました。そして、骨折が治ったあとも、再び教室に戻ってこられる方はほとんどいません。

自力整体では、高齢者の転倒や骨折を予防するために、実技の中で何か考えておられることはありますか?

矢上からのコメント

高齢者の転倒・骨折予防について、自力整体では大きく三つの視点から考えています。

1.骨折しやすい部位を日頃から動かし、刺激する

まず大切なのは、骨折しやすい部位を理解し、その部分を日頃からよく動かしておくことです。

そのために、自力整体では「四つん這いになって、からだを回す実技や踏みこみ」などを行っています。

昔の日本人がよく行っていた床の拭き掃除も、四つん這いになって手足や体幹を使います。結果として、日常生活そのものが、骨や関節を動かす機会になっていたのではないかと思います。

高齢になるにつれて骨量は低下しやすくなります。また、からだは使わない部分ほど機能が衰えていきます。これを「廃用性の低下」といいます。

ですから私は、骨折しやすい部位を怖がってまったく動かさないのではなく、安全な範囲で日頃から動かし、適度な刺激を与えておくことが大切だと考えています。

そして、もう一つ重要なのが、転ばないためのからだの感覚を保つことです。

高齢になると、筋力だけでなく、運動感覚や足裏の感覚、平衡感覚なども低下しやすくなります。

自力整体では、背骨や股関節、足首などを柔軟に保ち、足裏の感覚を感じながら動くことを大切にしています。

特に私は、腰椎の自然な前弯を保ち、腰まわりを固めないことを重視しています。腰や骨盤まわりを柔軟に動かし、下半身の感覚を保っていくことは、歩行やバランス能力を維持するうえでも大切だと考えています。

つまり、骨折予防を考えるときには、

「骨を丈夫にする」だけではなく、「そもそも転ばないからだをつくる」

という視点が、とても大切なのです。

2.せっかちな心と動きを整える

二つ目は「整心法」です。

高齢者の転倒を見ていると、からだの衰えだけではなく、心とからだの動く速度の違いが関係しているように感じることがあります。

年齢を重ねると、若い頃に比べて、からだの反応や動きはどうしてもゆっくりになります。

ところが、頭の中には若い頃の感覚が残っています。

「これくらいなら、すぐにできる」
「急いで立ち上がろう」
「早く歩こう」

そう思って頭が先に動いてしまうと、からだがその速さについていけないことがあります。

立ち上がった瞬間にふらつく。急いで方向を変えてバランスを崩す。足が思ったほど上がっておらず、段差につまずく。

このようなことが転倒につながります。

ですから高齢になるほど、

「頭でからだを急がせない」

ことが大切です。

何か動作を始める前に、ほんの少し間を置いて、からだに尋ねます。

「今、立って大丈夫かな」
「足はちゃんと床を感じているかな」
「急いでいないかな」

からだの感覚を無視して頭だけが先走るのではなく、からだの声を聞きながら、ゆっくり、やさしく、落ち着いて動く。

これも、自力整体で身につけてほしい大切な習慣です。

3.食事から骨を支える

三つ目は食事です。

骨の健康を保つためには、カルシウムだけでなく、たんぱく質やビタミンDなどを含め、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

そのうえで私は、日本人が昔から食べてきた魚、海藻、大豆製品などを、日々の食事に上手に取り入れることを勧めています。

たとえば、カツオと昆布でしっかりだしを取り、わかめや豆腐を入れた味噌汁。

こうした昔ながらの和食には、海藻、大豆、魚介類など、骨の健康を支える食材を自然な形で取り入れられる良さがあります。

塩分については、高齢者では高血圧や心臓・腎臓の病気などによって適切な摂取量が異なりますので、一律に「多く摂る」「減らす」と考えるのではなく、その人の健康状態に合わせることが大切です。

私は、極端な食事法に偏るのではなく、昔から日本人が食べてきた食材を大切にしながら、からだに必要な栄養を無理なく摂っていくことがよいと考えています。

自力整体で伝えている三つのこと

高齢者の転倒・骨折予防について、私は次の三つを大切にして指導しています。

1.骨折しやすい部位を知り、日頃から安全に動かして刺激すること。
そして背骨、骨盤、股関節、足首などの動きを保ち、「転ばないためのからだの感覚」を養うことです。

2.頭だけで先走らず、からだの声を聞いて動くこと。
若い頃と同じ速さで動こうとせず、何か行動を起こす前にからだに相談し、ゆっくり、やさしく、落ち着いて動く習慣を身につけます。

3.日本人が昔から食べてきた食材を大切にすること。
魚、海藻、大豆製品などを日々の食事に取り入れ、骨の健康を食事からも支えていきます。

骨折してから治すことも大切ですが、それ以上に大切なのは、「転ばないからだ」「転ばない動き方」「骨を支える生活」を、元気なうちから身につけておくことです。

これが、自力整体で考えている高齢者の転倒・骨折予防です。

by 矢上 裕

OTHER POSTS

その他の最新記事