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DATE : 2026.10.12

自力整体の「踏み込みの技法」は、       なぜ開発されたのか?

自力整体の「踏み込みの技法」は、なぜ開発されたのか?

――身体の左右差を整え、足腰の痛みを改善するために――

自力整体は、私、矢上裕が約50年にわたる身体の研究と実践を通して発展させてきた整体法です。

身体のゆがみを整えることで、腰痛、ひざの痛み、坐骨神経痛など、神経への圧迫が関係する痛みの改善を目指しています。

自力整体を正しく実践するためには、単に実技の形を覚えるだけでは不十分です。

その実技が「なぜ開発されたのか」「何を目的としているのか」「身体のどこに、どのように働きかけるのか」を理解し、納得して取り組むことが、成果への近道だと私は考えています。

このように、自力整体の技術や開発の意図を広く公開することについて、「不特定多数の方々に、そこまで情報を開示しても大丈夫なのですか?」という声を聞くことがあります。

しかし、私の考えは違います。

今この瞬間にも、身体の痛みに苦しんでいる人がいます。

そのような人が、このダイアリーを読んで「自分の身体も良くなるかもしれない」と希望を持ち、自力整体を実践するきっかけになってくれたら、これほど嬉しいことはありません。

自分が長年かけて開発してきた技術を、必要としている人に伝えること。それも開発者としての私の義務だと思っています。

それでは今回は、自力整体の実技の一つである「踏み込みの技法」について、なぜこの技法を開発したのか、どのように行えば効果を引き出せるのかをお話ししましょう。

1.踏み込みの技法は、何を目的としているのか?

踏み込みとは、身体のゆがみの特徴として現れる、左右の手足の長さや動きのアンバランスを整えることを目的とした整体術です。

もともと私は、この技法を患者さんへの整体施術として行っていました。

その方法を説明しましょう。

まず、患者さんには、両足のかかとを壁に当ててもらいます。

これは、左右のかかとの位置をそろえ、施術中に足が滑らないようにするためです。

足は腰幅程度に開きます。

次に、両手を伸ばして私の足首をつかんでもらいます。

これも、両手が滑らないようにすると同時に、左右の手の位置を均等にするためです。

その姿勢で、患者さんが息を吐くタイミングに合わせて、私が両手で肩甲骨の間をゆっくりと押していきます。

この動作を何度か繰り返すことで、左右の手足の伸び方がそろい、身体全体の緊張が緩んでいきます。

私の施術経験では、この方法によって肩こりや腰痛、その他の足腰の痛みが軽くなる人を数多く見てきました。

特に、左右のアンバランスが大きい人ほど、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、アキレス腱、足裏にかけて強い突っ張りを感じることがあります。

しかし、無理のない範囲で繰り返していくうちに、次第に筋肉が緩み、終わった後には格別の爽快感を感じる人もいます。

さらに、丸まっていた背中が伸び、猫背が改善されることで、施術前より身長の測定値が高くなることもあります。

私は、このような身体の変化に注目してきました。

2.この整体術を、自分でできるようにしたのが「踏み込み」である

この施術の効果を、自分一人でも得られるように工夫したものが、自力整体の「踏み込みの技法」です。

したがって、この実技を行うときに最も大切なのは、左右の手足の伸び方を均等にするという目的を意識することです。

例えば、左手で床を前方へ押し出すときには、その対角線上にある右足のかかとで、しっかりと踏み込みます。

反対に、右手で床を前方へ押し出すときには、左足のかかとで踏み込みます。

このように、左右対角線上の手足を連動させながら、交互に身体を伸ばしていくのです。

ここで興味深いことがあります。

右手をよく使う人の中には、上半身が右側にねじれる傾向のある人がいます。

そのような人は、右手で押して左かかとで踏み込むよりも、左手で押して右かかとで踏み込む方が、やりやすく感じる場合があります。

つまり、左右の踏み込みやすさの違いから、自分の身体のアンバランスに気づくことができるのです。

そして、左右交互に踏み込みを繰り返し、どちらも同じように伸びるようになったと感じたら、その日の踏み込みは終了です。

ただし、痛みを我慢して強く踏み込む必要はありません。呼吸に合わせて、無理なく行うことが大切です。

3.踏み込みは、身体のゆがみを調べる方法でもある

自力整体の授業では、この踏み込みを一度だけでなく、実技の途中で何度も繰り返すことがあります。

それには理由があります。

踏み込みは、身体を整えるための実技であると同時に、身体の左右差がどの程度変化したかを確かめる方法でもあるからです。

最初は右と左で踏み込みやすさが大きく違っていた人も、他の実技を行った後に再び踏み込みをすると、左右の差が小さくなっていることがあります。

私は、この変化を身体のゆがみや筋肉の緊張が改善してきた一つの目安として見ています。

つまり、踏み込みには「整体」と「身体の状態を確かめる」という二つの役割があるのです。

4.踏み込みがつらい人は、骨盤の後傾に注目してほしい

さて、この踏み込みを行うと、非常につらく感じる人がいます。

私は、そのような人の身体を観察するとき、特に骨盤の後傾に注目しています。

骨盤が後ろに傾くと、腰椎の自然な前弯が小さくなり、背中が丸まりやすくなります。

そのような姿勢では、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、アキレス腱、足裏にかけての筋肉が硬くなり、身体を伸ばしにくくなることがあります。

そのため、踏み込みの姿勢を取ったときに、強い突っ張りや窮屈さを感じる場合があるのです。

また、腰椎の変形や椎間板の状態などによって神経が圧迫されている場合には、お尻や脚に痛みやしびれが現れることもあります。ただし、骨盤の後傾だけで神経が圧迫されるとは限りません。

私が踏み込みの実技で目指しているのは、こうした筋肉の緊張を緩め、骨盤や腰椎が本来の自然な位置で動きやすくなることです。

実際に、骨盤が起きて腰椎の自然なカーブを保ちやすくなると、それまでつらかった踏み込みが楽になる人もいます。

最初はつらかった踏み込みが、いつの間にか気持ちよくできるようになる。

私は、この変化こそ、自力整体の面白さの一つだと思っています。

5.開発者として伝えたいこと

今回お伝えしたかったのは、踏み込みという実技が、単に手足を伸ばすストレッチではないということです。

左右の手足の伸び方をそろえ、骨盤や背骨の動きを整え、身体全体の緊張を緩める。

その目的を理解して行うことが大切なのです。

また、踏み込みを行う前と後で、自分の身体がどのように変化したかを感じ取ってください。

左右の伸び方はどうか。

腰や背中は楽になったか。

呼吸はしやすくなったか。

このように、自分の身体の変化を観察する習慣を身につけてほしいのです。

今回紹介した壁を使う方法は、私が患者さんに行っていた補助整体です。実際に試す場合には、安全を確保し、身体の状態を理解した指導者のもとで行ってください。特に痛みやしびれがある人に、無理な力を加えてはいけません。

自力整体は、自分の身体と対話しながら、自分自身を整えていくための技術です。

実技の形だけをまねるのではなく、その実技が生まれた理由を理解して取り組んでほしい。

それが、自力整体を開発してきた私の願いです。

by 矢上 裕

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