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DATE : 2026.10.05

電動マッサージ器でぎっくり腰に

105―電動マッサージ器でぎっくり腰に

質問・体験報告

〇〇です。

8月24日の朝から、ぎっくり腰になってしまいました。

原因は、電動マッサージチェア(全身用)に長時間座っていたことではないかと思っています。

電動で動くローラーが腰に当たったとき、少し違和感があったのですが、「これで巡りが良くなるだろう」と思い、そのまま続けてしまいました。

24日の夜は、じりきバンドを使って脚を倒す動きなど、痛みの出ない範囲で身体を動かしました。翌25日には何とか動けるようになったのですが、その後、再び痛みが強くなり、27日の西宮教室には行くことができませんでした。

じりきバンドを腰骨に引っ掛けて下方向に押すと、何とか腰を真っすぐにできたので、動き始めるときにはバンドを利用しながら過ごしていました。

今回のナビゲーター研修のテーマが、ちょうど「腰痛とぎっくり腰」だったため、昨日、動画配信を見ながら、じっくりと自力整体に取り組みました。

すると今朝は、朝から心地よい排便があり、布団から立ち上がる動作もスムーズにできました。

今回の経験を通して、自分の身体はマッサージチェアなどの機械に任せるだけではなく、自分自身が身体の声を聴きながら、心を込めて手入れをすることが大切なのだと、改めてよく分かりました。

ありがとうございました。


矢上からのコメント

それは、よい学びをされましたね。

機械には、人間の身体の反応を感じ取り、「ここは痛がっているから少し弱くしよう」「ここはもう刺激しないほうがよい」と、その場で細かく手加減する能力はありません。

実は人間にも、機械のように自分の身体を扱ってしまう人がいます。

身体が「痛い」「嫌だ」「そこまでしないで」と訴えているのに、

「いや、これは身体に良いはずだ」
「筋肉は伸ばさなければならない」
「ここまでやらなければ効果がない」

と、自分の考えを優先してしまうのです。

私は、このような状態を「機械人間」と呼んでいます。

機械人間のような感覚で自力整体をすると、自力整体そのもので身体を痛めることがあります。

こちらは筋肉や関節をやさしく揺さぶりながら、緊張をほどき、関節の動きを引き出すように誘導しているのに、「筋肉は伸ばさなければ柔らかくならない」と、一生懸命ストレッチをしてしまう。

そして授業が終わったあとに、かえって腰を痛めて帰る人もいます。

身体の声ではなく、頭の中の「こうするべきだ」という信念ばかりを聞いているのです。

これから、そんな人を「マッサージチェア人間」と呼ぶことにしましょうか。

ぎっくり腰のときこそ「身体の声」を聴く

さて、あなたの文章の中には、自力整体に取り組むうえで、とても大切なヒントがあります。

ぜひ多くの方に知っていただきたいと思い、ダイアリーで紹介することにしました。

ぎっくり腰では、腰を守ろうとして周囲の筋肉が強く緊張し、ある方向へ身体を動かした瞬間に激痛が走ることがあります。

自力整体では、そのようなときに痛む筋肉を無理に伸ばしたり、痛みを我慢して動かしたりするのではなく、「どの方向なら痛くないのか」を身体に尋ねながら、可能な範囲で動くことを大切にしています。

特に私は、腸腰筋の強い緊張に注目しています。

痛みを起こす方向を避ければ、意外に動けることがあります。あなたが、じりきバンドを利用しながら、できる範囲で身体を動かしていたのも、その一例でしょう。

もちろん、強い痛みや脚のしびれ・脱力などがある場合は医療機関での診察が必要です。しかし、一般的な急性腰痛でも、長期間まったく動かずに安静にし続けるより、痛みの許す範囲で日常生活を続けることが勧められています。

大切なのは、

「動くか、動かないか」ではなく、「身体の反応を聞きながら、どのように動くか」なのです。

痛んでいる筋肉を無理にほぐさない

もう一つ気をつけたいのは、

「硬くなっているから、ほぐさなければ」
「縮んでいるから、伸ばさなければ」

と考えて、痛みの強い時期に無理な刺激を加えることです。

私は、ぎっくり腰のときの腸腰筋の緊張を、身体を守るための防衛反応の一つとして捉えています。

腸腰筋の立場になって言えば、

「腰を守るために、私はいま緊張して動きを止めているんだ。それなのに、無理やり伸ばしたりほぐしたりしないでくれ!」

と言っているようなものです。

そこへ強いストレッチや刺激を加えれば、身体はさらに防御しようとして、緊張を強めることがあります。

ですから、焦って「治そう、治そう」とするのではなく、痛みを避けながら日常生活の中で少しずつ動き、身体が自然に緊張を解いていくのを待つことも大切なのです。

排便と腰の状態

今回の報告で私が興味を持ったのは、

「回復してきた朝に、心地よい排便があった」

という部分です。

腰や骨盤周囲の緊張と腸の状態について、私は長年、整体の立場から注目してきました。

ただし、「腰椎や仙腸関節のずれが大腸の自律神経を直接圧迫して便秘になる」と医学的に断定することはできません。

それでも、腰の状態、身体活動、食生活、睡眠、ストレス、そして腸の働きは互いに無関係ではありません。

身体全体の緊張がほどけ、動きや排便が同時に楽になってきたという今回の体験は、自分の身体の変化を観察するうえで、とても興味深いものだと思います。

私が考える「ぎっくり腰の準備状態」

私は長年、多くの腰痛の人を観察する中で、ぎっくり腰は「重い物を持った、その瞬間だけ」が原因なのではないと考えるようになりました。

その前から、

夜遅い飲食が続いている。
長時間座り続けている。
睡眠不足が続いている。
身体を動かす機会が少ない。
腰や股関節周囲の筋肉が緊張している。

このような状態が重なり、身体がすでに疲れているところへ、立ち上がる、前屈する、物を持ち上げる、咳やくしゃみをするといった動作が最後のきっかけになることがあります。

つまり私の捉え方では、ぎっくり腰は突然起きたように見えて、その前から身体の中では「準備」が進んでいることがあるのです。

私は、この状態を少しユーモラスに、

「腸腰筋のストライキ」

と表現しています。

「そろそろ無理をするのはやめてくれ」
「座りっぱなしをやめてくれ」
「身体を休ませてくれ」

そんな身体からの警告だと考えてみるのです。

ぎっくり腰を繰り返す人は、「何を持ったから痛めたのか」だけを見るのではなく、その前の数日間、あるいは数週間の生活を振り返ってみてください。

食べる時間は遅くなっていなかったか。
座りっぱなしになっていなかったか。
睡眠は十分だったか。
身体の違和感を無視していなかったか。

そこに再発予防のヒントが隠れているかもしれません。

今回のマッサージチェアについて

ですから今回のぎっくり腰も、

「マッサージチェアだけが原因だった」

と決めつける必要はないと思います。

その前から腰や身体に疲労が蓄積しており、そこへ長時間のマッサージチェアによる刺激が加わったことが、一つのきっかけになった可能性もあります。

しかも、ご本人はローラーが腰に当たったとき、すでに**「少し違和感があった」**と書いています。

私は、ここが一番大切だと思います。

身体はすでに、

「そこは嫌だよ」

と教えてくれていたのです。

ところが頭では、

「これは身体に良いものだから、続けたほうがよい」

と判断してしまった。

今回の体験から得られる一番大切な教訓は、マッサージチェアが良いか悪いかということではありません。

身体に良いといわれていることでも、自分の身体が嫌がっているなら、一度やめて身体の声を聞いてみる。

これこそが、自力整体で最も大切にしている姿勢なのです。

ちょっと大袈裟ですが、そのイメージを下のイラストにしてみました。

by 矢上 裕

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