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DATE : 2021.10.04

アスリートと自力整体実践者

 自力整体を伝えるという仕事をさせていただいて32年。

 つくづく、この仕事はアスリートと同じだなということだ。

 アスリートのゴールは競技に勝つことだが、私たちの仕事は自分の健康を維持すること。

それに共通しているのは、良いアスリートも、良い自力整体実践者も「違和感に気づく」センサーが敏感であるということだ。

 今は引退したが、阪神球団に「藤川球児」という速球投手がいた。

 彼の著作を読んだところ、自力整体実践者にも共通する話が書いてあった。それは

 彼が肩の痛みに悩み、かつ投球のスランプに悩んでいたころ、元阪急で速球投手として活躍した山口高志がコーチとして阪神に来て、彼に正しいフォームのアドバイスをした。

 藤川はそのコーチのやり方で投げると、肩が痛くないし、投げるほど肩の不調が改善されるが不思議に思った。 それだけでなく、投げる速度も速くなり、活躍できるようになった。

 元巨人の王選手にもこんなエピソードがある。

 野球をやっていると投手も野手もいろいろな怪我や不調、スランプに悩まされる。

 ところが、ランニングをしている王選手の横に並んで走ると、怪我や痛みや不調が治っていたそうだ。

 これは王選手のオーラがそうさせるのではなく、 王選手の走るフォームが人体力学に合った、最も無理なく、さらに最高の肉体能力を発揮できるフォームだからだったのだ。

 怪我をして一緒に走っていた選手たちは、自分の走るフォームが自然と横で走っている王選手のフォームに変わっていき、その正しいフォームで走っていると、走り終えた時に走る前に合った痛みが消えているのだ。 

 だから彼自身も長い現役生活で体調不良で試合を休んだことがない。 本人はそのことに対して「親から頑丈な身体を与えられたことに感謝している」と述べている。

しかし、私のような整体の専門家に言わせると、「それもあるが、本人が正しい身体の使い方を知っている、知っているというより学習しなくても身についてしまっている」というのが正解である。

この話を自力整体に戻してみよう。

私が自力整体を指導しているときに、これはリアルでもオンラインでも同じだが、受講している人は私と同じ動きをするし、呼吸も同じリズムになっていく。 おそらく教室の授業を終えて家に帰るときも、私と同じしぐさや動きに近くなっているだろう。

すると、これまで抱えていた痛みがなくなるのである。 これを同調作用という。

だから、私はナビゲーターの研修や養成でも「自力整体の技術が治しているのであるというよりも、

ナビゲーター自身に生徒は同調して治っていくのだ」と言っている。

だから、自分を治せていないナビゲーターは、真の意味で生徒を治せるわけがない。 

それだけ、ストイックに自分のことを観察し、違和感に気づき、それを修正してベストコンディションを作ることこそが、教室での言葉を使った指導よりも、何倍も大事なのだ。

「ドクターは技術で治し、ヒーラーは人格で治す」という言葉は自力整体の核になっている。

もっといえば、自力整体をしなくても、その人と一緒に生活いや行動するだけで健康になっていくのだ。 私たちはそこを目指さなければならない。

 (写真は藤川球児)

by 矢上予防医学研究所

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