READ
読む
新規通信
会員登録
お知らせ・日記・動画など
DATE : 2026.10.01
質問
高齢者にも、下のイラストのようにいつまでも元気な人がいれば、

下のイラストのように年齢とともに衰えが進み、からだが不自由になっていく人もいます。

矢上先生は、老化や衰えの原因をどのように考えておられますか?
矢上からのコメント
老化や衰えについては、食養の観点、運動やトレーニングの観点、医学的な観点など、さまざまな考え方があるでしょう。
ここでは私は、「整体的観点」から考えてみたいと思います。
私がここでいう整体的観点とは、脳と手足の筋肉・関節・内臓などを結んでいる神経の働きに注目して、からだを観ることです。
手足の筋肉や関節、内臓などは、それぞれが脳や神経系と連携しながら働いています。
たとえば、事故などによって頚髄が損傷すると、脳と手足との間の神経伝達が障害され、手足を動かすことが難しくなる場合があります。
私は、この神経の働きを「電線」にたとえて考えています。
脳からの情報を、からだの隅々まで届ける電線です。
整体に携わる者の役割は、この「電線」ができるだけ邪魔されず、からだ全体が働きやすい環境を整えることだと考えています。
いわば、からだの電気工事技師、あるいはメンテナンス技師のようなものです。
背骨と神経の関係
脳から続く脊髄は脊柱管の中を通り、そこから枝分かれした神経が、椎骨と椎骨の間にある椎間孔などを通って全身へ伸びています。

そこで自力整体では、背骨を整え、背骨の一つひとつが動きやすい状態をつくり、神経が圧迫されにくい環境を保つことを、とても大切な目的の一つとして考えています。
私は、自力整体のさまざまな実技も、この目的を意識して行うことが大切だと考えています。
ところが、この目的を忘れて、自力整体を単なる「筋肉を伸ばす体操」や「筋肉を鍛える運動」として行っている人も少なくありません。
もちろん、柔軟性や筋力も大切です。
しかし私は、それ以前に、背骨や関節が動きやすく、神経が働きやすい環境を整えることが重要だと考えています。
年齢を重ねると、椎間板の変化や姿勢の変化、筋肉や関節の硬さなどによって、背骨の動きや神経の通り道に影響が生じることがあります。
また、筋肉をいつも緊張させていると、その周囲を通る神経や血管にも負担がかかりやすくなります。
高齢になると身長が低くなる人が多いのも、椎間板の変化や背骨の変形、姿勢の変化などが関係しています。
「脳という社長」と「からだという社員」
私は、整体的観点を説明するとき、もう一つこんなたとえを使います。
脳が社長で、からだの各部分が社員である。
社長がどれほど適切な指示を出していても、その情報が社員に届かなければ、会社全体は十分に働くことができません。
そこで、
「脳という社長と、からだという社員との連絡が、全身の隅々までスムーズに行われているだろうか」
という視点でからだを観察し、整え、メンテナンスしていく。
これが、私の考える「整体的観点」です。
私は、背骨や骨盤の動きを整え、神経が働きやすい環境をつくることによって、筋肉や関節も本来の柔軟性や力を発揮しやすくなり、全身の機能を保つことにもつながるのではないかと考えています。
そして、それが老化による衰えをできるだけ少なくしていくための、自力整体からのアプローチなのです。
自力整体の前半と後半には意味がある
自力整体では、専門家にからだを整えてもらうのではありません。
自分自身で、自分のからだを整えていきます。
そのため、実技の前半では、まず全身の緊張をゆるめ、背骨や骨盤を動かしやすい状態へ導いていきます。柔らかく脱力するために、手首足首のツボを刺激する経絡治療を利用しています。
いきなり背骨を大きく動かそうとしても、周囲の筋肉が緊張していれば、からだは素直に動いてくれません。
まず経絡治療で「ゆるめる」。これが準備になります。
そして休憩後は、じりきバンドなどを使いながら、背骨や骨盤をさまざまな方向へ無理なく動かしていきます。
特に自力整体では、背骨や骨盤の動きに深く関係する腸腰筋などの緊張をゆるめることを重視しています。
背骨を曲げる、伸ばす、ねじる、ゆする。そうして一つひとつの椎骨が動きやすい状態をつくり、本来の位置関係へ戻りやすい環境を整えていくのです。
私は、この作業を車のメンテナンスにたとえています。
エンジンから生まれた力がさまざまな機構を通って、最後には車輪へ伝わります。
その途中の部分が硬くなったり、動きにくくなったりすれば、エンジンの力を十分に車輪へ伝えることができません。
そこで油を差し、動きを滑らかにし、力がきちんと伝わるように整備します。
自力整体も、それに似ています。
脳からの情報が、神経を通してからだの隅々まで伝わり、からだ全体が本来の働きを発揮しやすい状態をつくる。
そのために、まず緊張をゆるめ、背骨や骨盤を動かし、全身を整えていくのです。
自力整体を実践している皆さんには、ぜひこの目的を頭の中に描きながら実技を行ってほしいと思います。
ただ形だけを真似して動くのではなく、「今、私は何のためにこの動きをしているのか」というイメージを持つ。
その理解があってこそ、自力整体の実技は、より深いものになっていくと私は考えています。
だからこそ、自力整体を学ぶ人には、実技だけではなく、こうした「整体の知識」も必要なのです。
その他の最新記事
受講に関するご質問やお問い合わせ、通信会員の入退会、取材のお申し込みなど、各種お問い合わせはこちらのメールフォームよりお寄せください。