READ
読む
DATE : 2026.10.14
自力整体はストレッチではない― 痛み…
新規通信
会員登録
お知らせ・日記・動画など
DATE : 2026.10.14
ナビゲーターの○○です。報告があります。
腰痛を抱えながらも、真面目に教室へ通っている生徒さんから、次のような連絡がありました。
「腰痛の治療を受けている接骨院の先生から、『ストレッチはしてはいけません。自力整体教室もしばらく休みなさい』と言われました」
この生徒さんは坐骨神経痛がひどくなり、歩くのもつらくなったため、接骨院を受診したそうです。
私はこの連絡を受けたとき、生徒さん自身が自力整体をストレッチの一種として認識していることに気づきました。
これまでも「自力整体はストレッチではありません」と伝えてきたつもりでしたが、まだ私の説明が十分ではなかったのだと思います。
今回のことをきっかけに、自力整体とストレッチの違いを、これまで以上に丁寧に伝えていこうと決めました。
あなたと同じような経験をして、困っているナビゲーターは多いと思います。
また、今でも自力整体をストレッチの一種だと思って受講している人も少なくないでしょう。
そこで今回は、自力整体とストレッチは何が違うのか、そして自力整体はどのような考え方で痛みを解消しようとしているのかについて、詳しく解説したいと思います。
はじめに、坐骨神経痛の生徒さんに「ストレッチをやめなさい」と指導された接骨院の先生の判断についてです。
坐骨神経痛が強く、歩くことさえつらい状態であれば、痛みを誘発するストレッチを中止することは適切な判断です。
痛みのある筋肉や神経を無理に伸ばせば、かえって症状が悪化することがあるからです。
ただし、自力整体にも筋肉や関節を伸ばす刺激法があります。これを「伸展法」と呼びます。
ここで、自力整体で用いる主な刺激法、つまり身体に働きかける手技を整理しておきましょう。
① 伸展法
ストレッチに似た動きで、筋肉や関節を無理のない範囲で伸ばし、緊張を緩めていく方法です。
② 圧迫法
自分の体重を利用してツボや筋肉を圧迫し、こわばりを緩めていく方法です。
③ 振旋法
身体を揺さぶったり、関節を回旋させたりすることで、筋肉の緊張を緩め、関節の動きを整える方法です。東洋医学では、滞った気の流れを促すという考え方もあります。
④ 摩擦法
タオルや手のひらを使って身体の表面やツボをこすり、温めたり刺激したりする方法です。
⑤ 緊張法
凝っている筋肉に意識的に力を入れ、その後、一気に脱力することで筋肉の緊張を緩める方法です。
⑥ 抵抗法
手やタオルなどで抵抗を加えながら筋肉を働かせ、その後に脱力することで、筋肉や関節の動きを整える方法です。
これらの刺激法には、古くから東洋医学で行われてきた導引術と共通する考え方があります。
下のイラストは、自力整体の原型の一つとなった「経絡伸展法」です。

自力整体は、身体の緊張を緩め、姿勢や関節の動きを整えることによって、痛みの改善を目指して開発したものです。
そのため、痛みを我慢してまで筋肉や関節を伸ばすことは、絶対に避けなければなりません。
では、なぜでしょうか。
私の考えでは、痛みのある部分の筋肉が緊張しているのには、それなりの理由があります。
例えば、身体が「これ以上動かすと危険だ」と判断し、筋肉を緊張させて、その部分を守ろうとしている場合があります。
そのような状態で無理に伸ばそうとすると、身体はさらに緊張を強め、痛みという信号で「もうやめてくれ!」と訴えてくるのです。
坐骨神経痛のある人が、無理に前屈して脚の裏側を伸ばした結果、痛みが強くなることがあるのも、その一例です。
では、自力整体はどのようにして、この緊張を解除しようとしているのでしょうか。
私が大切にしているのは、緊張している筋肉を無理やり伸ばすのではなく、その筋肉が緊張しなければならない原因を取り除くという考え方です。
そのために、私は身体の緊張を大きく3つに分けて考えています。
一つ目は、身体を守るために起こる「防衛性緊張」です。
例えば、ひざに痛みがある人を考えてみましょう。
ひざの関節に炎症や不安定さがあると、身体はその関節を守るために、周囲の筋肉を緊張させることがあります。
まるで身体が、
「これ以上、ひざを無理に動かさないでください。今は関節を守る必要があるのです」
と訴えているようなものです。
何ともありがたい身体の防衛反応ではありませんか。
高齢者の場合も同様です。
加齢に伴って関節の動きが悪くなったり、筋力が低下したりすると、身体を安定させるために筋肉の緊張が強くなる場合があります。
また、骨粗しょう症が進んでいる人では、強い力を加えることで骨折する危険性もあります。
そのような人に、若い人と同じような強いストレッチを行わせることは適切ではありません。
大切なのは、無理に可動域を広げることではなく、身体の状態に合わせて、安全な範囲で少しずつ動きを取り戻していくことです。
私は、このような身体を守るための緊張を「防衛性緊張」と捉えています。
二つ目は、東洋医学の考え方に基づく「経絡停滞による緊張」です。
東洋医学では、身体には気が流れる経絡があり、その流れが滞ると、こりや痛みなどの不調が生じると考えます。
これは現代医学でいう神経や血管の働きとは異なる、東洋医学独自の身体観です。
私は、この経絡の流れを整えることが、身体全体の緊張を緩めるうえで重要だと考えています。
自力整体の前半では、経絡に沿った伸展法や圧迫法、振旋法などを組み合わせ、身体のこわばりを少しずつ緩めていきます。
つまり、いきなり痛みのある場所を伸ばすのではありません。
まず全身の緊張を緩め、身体が自然に動きやすくなる状態をつくっていくのです。
これが、自力整体の前半に経絡への刺激を取り入れている理由です。
三つ目は、身体のゆがみを補うために生じる「代償性緊張」です。
例えば、腰椎が右側に傾いている人を想像してください。
身体はそのまま右側に倒れてしまわないように、反対側の筋肉も働かせながら、何とか姿勢を保とうとします。
つまり、身体のゆがみを補うために、筋肉が余分な仕事をしているわけです。
私は、このような緊張を「代償性緊張」と呼んでいます。
この場合、緊張している筋肉だけを一生懸命伸ばしても、姿勢のバランスが変わらなければ、再び同じ筋肉に負担がかかる可能性があります。
そこで自力整体では、骨盤や腰椎の動きを整え、特定の筋肉に負担が集中しない状態を目指します。
下のイラストを見ていただくと、理解しやすいと思います。

自力整体の後半に、タオルを使った骨盤や腰椎への働きかけを取り入れているのは、このためです。
前半で全身の緊張を緩め、後半で骨格のバランスや関節の動きを整えていく。
この二段階の構成が、私の考案した自力整体の大きな特徴なのです。
ここまで説明してきた3つの緊張を、もう一度整理してみましょう。
① 防衛性緊張
身体を守るために起こる緊張。
② 経絡停滞による緊張
東洋医学の考え方で、気の流れの滞りと関連づけて捉える緊張。
③ 代償性緊張
身体のゆがみや姿勢のアンバランスを補うために起こる緊張。
私は、自力整体を開発するうえで、この3つの緊張をどのように緩めていくかを大切にしてきました。
そして、そのために90分という時間を使い、前半と後半で異なる働きかけを行うプログラムを組み立てているのです。
ストレッチは一般に、筋肉の柔軟性や関節の可動域を高めることなどを目的に行われます。
もちろん、適切なストレッチにも健康上の効果があります。
しかし、私が考案した自力整体は、単に筋肉を伸ばしたり、身体を柔らかくしたりすることを目的としていません。
筋肉が緊張している理由を考え、その緊張が自然に緩んでいく身体の状態をつくること。
ここに、自力整体の基本的な考え方があるのです。
最後に、今回報告してくださったナビゲーターにお伝えしたいことがあります。
あなたがいくら生徒さんに「自力整体はストレッチではありません」と説明しても、その言葉だけでは十分に理解してもらえないかもしれません。
大切なのは、指導するあなた自身が、この3つの緊張について理解し、実技の目的を明確にイメージできていることです。
今行っている実技は、どのような緊張を緩めようとしているのか。
なぜ、この順番で実技を行うのか。
なぜ、痛いところを無理に伸ばしてはいけないのか。
それらを理解して指導することが、生徒さんの納得につながるのです。
まずは、あなた自身の身体で、この3つの緊張が緩んでいく感覚を確かめてみてください。
すると、外から見ればストレッチに似ている動きであっても、その一つひとつが、身体の緊張を解除するために考えられた技法であることが、より深く理解できるようになるでしょう。
そして、その理解は、あなたの言葉や指導にも自然に表れてくると思います。
自力整体は、身体を無理に伸ばすためのものではありません。身体が緊張している理由を理解し、その緊張から解放されることを目指すものなのです。
これこそが、私がナビゲーターの皆さんに伝えたい、自力整体の本質です。
なお、今回のように坐骨神経痛が悪化し、歩くこともつらい生徒さんについては、まず医療機関で原因を確認し、必要な治療を優先してください。自力整体の再開も、症状や医療者の判断を踏まえて慎重に進めることが大切です。
その他の最新記事
受講に関するご質問やお問い合わせ、通信会員の入退会、取材のお申し込みなど、各種お問い合わせはこちらのメールフォームよりお寄せください。